なんでそんな悲痛な声を上げてるんだろうと思いながら 顔を上げようとするけど、首がうんともすんとも動かない 指、手がかろうじて……あとは意志どおりにいかない
うう、これ、何だろう……何が起こったんだっけ……
ぼーっとしてるうちに数人のエルフに担ぎ上げられ、 不安定な布の上にそっと寝かされる やがてかくんと揺れたかと思うと、ゆっくりと景色が回り始めた
同時に、徐々に背中の“痛み”が戻って来る
「鯛殿、すまなかった…… 宮仕えの者たちに誠心誠意を尽くして治療するよう命じておいた 説明は後ほど……テラン自らが語ることを望んでおるようなので 治療の終わる頃、そちらに向かわせる」
この声は、ヴァヌー様?
イマイチ事が良く分からない……
声の主に目を向けることが出来ない…… 頷く代わりにゆっくり瞬きをしてみる