[a sea bream] 幻の調味料 2006年03月08日08:38
ロキがおおとりさまから受けた課題のため、ロキを引き連れてディオンまで赴くことにいたしましてよ。
えーと、たしかあの人は、倉庫のなかで突っ立ってるはずですわね。
「ごぶさたしておりましたわね。ジョナスさん」
「あ・・・えーと、そうそう、Geymarkさんでしたね、お久しぶりです、その節はお世話になりました。」
この輩、しばらく思い出せなかったようですわね。
まあ、彼と関わりを持ったのもc1ぐらいの昔の話ですし、まあそれは勘弁してあげることにしましょうか。
「その後いかが?調達して差し上げた食材で、大会でそれなりの成績は残せたのかしら?」
「いやあ、お恥ずかしい話ですが、未だに入賞すらできない有様で、こうして今も他の冒険者の方に食材の調達を依頼して待っているところでして・・・」
こいつ、もしかしたら無能な料理人じゃないのかしら?
あるいは、極端に本番に弱いタイプかどちらかですわね。
「今日は、ちょっとお伺いしたいことがあって参りましたの。」
「え?私はここで人待ちをしているのであまり時間の方は・・・」
「先だって私があんなに苦労して高級食材を調達してさしあげたのに、あんなしょぼいレシピ一つで貴方は恩返しをしたつもりなのかしら?」
「え?でもあれはそこの雑貨屋に売れば結構なお金に・・・」
「c1の昔、その後のクエストにつながるという噂を信じて、大事に大事にレシピを抱えていた冒険者は私だけじゃないと思いますけど、その点どうなのかしらねえ?」
「う・・・」
「続きが実装されて、もう真っ青になったクエストモンスターを乱獲して、いただけたのはD級アクセサリーでしたわ。落胆した冒険者は私だけではないと思いますけどねえ」
「そ、それは私に言われても・・・」
(註:ディオンの「盛大な晩餐」クエストは適正lvで行えばそれなりに納得のいく報酬のクエストです)
「処刑場で白いマンドラゴラの根を集めるのに、まだまだ未熟だった私はどんなに苦労したことか・・・」
「え?でも確か貴方はあの当時にしては随分立派な装備をしてらしたように覚えてますけ・・・」
「貴方は装備で人を差別するのですか!!!」
「ちょ、Geyさん、それ多分意味が逆・・・」
「メイドはだまってらっしゃい!!」
ここは一気にたたみかける段階なのに、余計な合いの手を入れるとは、気の利かないメイドですわね。
「・・・まあ、私は別に追加で報酬が欲しいとか、そんなことを言うつもりはありませんわ。ちょっと聞きたいことがあるだけですのよ。」
「わかりました、わかりましたよ。で、どんなことを?」
「それはこちらの者からお話させていただきましてよ。さ、ロキ、お話ししてさしあげなさいな。」
・・・・・
「・・・なるほど。そういう調味料については聞いたことがあります。なんでも『マヨネーズ』という物だとか。」
「なるほど、作り方はご存知?」
「そんなに難しいものではありません、卵と酢さえあれば簡単に作れるものです。」
「なるほど、簡単ねえ。ということは、卵と酢だけ調達してくれば作っていただけるのかしら?」
「え?私は大会の準備が・・・・」
「私がどんなに苦労してローヤルゼリーを・・・」
「・・・わかりました、作らせていただきます・・・」
「ということですわ。よかったですわねロキ」
「えーとえーと・・・すいませんジョナスさん」
「あら?最近のメイドはお礼を言う相手さえご存知ないのかしら?」
「えーと・・・ありがとうGeyさん」
「と、いうことで卵と酢の調達ですわね。卵といえば、インナドリルで良い卵が取れたはずですわね。」
「リエンリックの卵のことかな?」
「正解ですわ、ロキ。酢の方は私に心当たりがあるので、ちょっとインナまで走って調達してきなさい」
「はい、それじゃあ行ってきます」
「あ、ちょっと待って。その時、ついでにハイネスに寄って、ペット屋から、冒険者から買い上げたはいいけど古くなっていて使い物にならない卵があったらいただいてきなさい。」
「へ?何に使うんです?そんなの。」
「大丈夫、ちょっと私に考えがありますの。」
卵はこれでいいとして、次は酢ですわね。
酢の方は、警備兵のヒツランに言えば、冒険者に渡す予定が古くなって使い物にならなくなったワインの一本や二本調達できるでしょう。
・・・
「さあ、ジョナス、この二本の古いワインをビネガーにしていただけるかしら?」
「ふむ・・・この一本は程よい酸化をしてますね、上等なワインビネガーになるでしょう。・・・もう一本は、ちょっと古くなりすぎていて、まともなビネガーになるかどうか・・・」
「かまいませんわ。二本ともビネガーにしてくださいな。」
「いいですけど、一本は味のほうは保証できませんよ?」
「それで結構ですわ。ちょっと考えがありますの。」
「考え?」
「ふふふ、それは言えませんわ。そうね・・・強いて言えば、オペレーション「酢豆腐」とだけ・・・」 |