− Geymark編
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[a sea bream] 彼女について知っている二、三の事柄 2006年03月14日11:15

KNOCK KNOCK・・・
「失礼します。このたび姫様付の秘書官に任命されましたGeymarkと申しますが・・・」
「ああ、伺っておりますわ、お入りになってください。」
「それでは失礼させていただきます。」

この城の城主の娘だというから、どんな田舎娘かと思ったら、眼鏡の似合うなかなか利発そうなお嬢さんじゃありませんの。ちょっと意外でしたわ。

「まずは姫様にはご機嫌うるわしゅう・・・」
「堅苦しい挨拶は不要でしてよ。良かったら姫様というのもおやめになって下さいな。所詮成り上がり者の娘です。テランと呼んで下さって構いませんわ。」
「はあ、それではお言葉に甘えさせていただいてテラン様とお呼びさせていただきますわね。」

 

「噂は聞いていましてよ。一日で城中の事務官をうならせたとか。そのような方を私付けにしてだけるとは有難い話ですわ。」
「恐縮です。まあ噂は噂。話半分にお捉えくださいますよう・・・」
「まあ、どうせマグライダー卿あたりが、目立ちすぎる輩はお嬢様の遊び相手でもさせておけとかそんな意図であてがったんでしょうけど・・・」
「テラン様、あまり滅多なことは・・・」
「あら、ちょっと口が過ぎたかしら。」

なかなか鋭い娘さんですけど、ほんのちょっと脇が甘いかしらね。私がそのへんの手先だったらどうするのかしら?
まあ、この歳でそこまで読めれば十分合格点ですけど。

「・・・ふむ、どうやら貴方は信用できそうかしら。」
「あら、どうしてそのような?」
「今カマをかけたのに、まったくうろたえる様子も見受けられませんでしたわ。まったく関係ないか、よっぽど一流の密偵かどちらかでしょう?」
「私が一流の密偵だったらどうするんですの?」
「私がそんな一流の密偵を抱えていたら、小娘の動向をさぐらせる間にギランでもオーレンでも探りにいかせますわ。それに・・・」
「それに?」
「万一そんな一流の密偵だとしたら、あれこれ隠し立てしても無駄でしょ?」

訂正しますわ。なかなか胆の座った立派なお嬢様ですわね。トンビの子が・・・というやつかしら?
これだったら鯛ちゃんの嫁に据えても構わないぐらいですけど・・・

「で、今日の予定はどうなっているのかしら?」
「はい、夕方から成人のお披露目のための着付等で会場入りしていただくことになりますわ。そこまでは、各種お稽古事、ということになっておりますが・・・」
「お稽古事の方は私の方でキャンセルしておきました。貴方から別のお稽古事を習いたくて・・・」
「別のお稽古事?」
「私に内政というものを教えていただきたいのです。」
「・・・お戯れが過ぎましてよ。私ごとき昨日今日入ったばかりの人間に習わなくても・・・」
「この城の人間はほとんどがマグライダー卿達幹部の息がかかっていると思っていいでしょう。そのような人々に教えを乞うても、おざなりに教えられるか、そもそも教わるに値しないかどちらかですわ。」
「なるほど。」
「貴方ほどの人なら一日あればこの城がどんな状態なのか把握できたでしょう。父の政治音痴をいいことに、幹部がやりたい放題。」
「・・・はあ。」
「多分、不正の一つも行っているんでしょうけれど、私も無知ゆえ、それを暴き出すことも出来ない有様で・・・」

あら、その証拠ならここに・・・と言って差し出すのは簡単だけど、まだちょっと先が読めませんし、ここはもう少し抱えておきましょうかしらね。

「父は幹部に乗せられて、成人と同時に私に婿でもあてがって、跡継ぎの一人も産ませてしまおうという考えのようですが、このような状態でおちおち結婚などできるわけがありませんわ。」
「・・・なるほど。」
「父は政治には暗いのは確かですが、私にはたった一人の父です。今は結婚よりも城の浄化の方が先に行うべき親孝行だと思いますの。」

なるほど、この娘自身は結婚する気は毛頭ないわけですわね。ある意味ちょっと残念ですが、この娘の意気やよし。ちょっと本気で教えてあげることにしましょうか。

「教えていただけますかしら?」
「わかりました、少々時間もないことですし、すこし駆け足になりますがよろしいかしら?」
「元より覚悟の上です。」
「わかりました。ではそこにお掛けなさいませ。」
「はい。」
「では、導入として、私の心の師であるDE村のアスタロン氏のお言葉からまいりますわね・・・」

・・・

「以上、かなり駆け足でしたが、城の経営に関する基本事項としてはこんなところですわね。」
「わかりました。大変勉強になりましたわ先生。」
「おやめくださいな。あくまで私は秘書官ですわ。呼び捨てで結構でしてよ。」
「わかりました、ではお友達として、Geyと呼ばせていただいていいかしら?」
「ええ、それは構いませんよ。・・・っと、いい時間になってしまいましたわね。」
「ああ、そうですわね。会場の方に行かないと。」
「それでは、会場の方にまいりましょうか。」

・・・

姫様の着付の間はそちら担当の女官に任せればいいとして、ちょっと手空きになりましたわね。
ちょっとロキの様子でも見に会場をのぞいてみましょうか。

ああ、いましたわね。あれで女装したつもりなのかしら。まあ、本人が楽しそうだし、これは捨て置いて良さそうですわ。

あれは・・・おおとりさま? まあ、これだけの宴席ですし、呼ばれてても不思議じゃありませんわね。

あら、DeLPiちゃんも。そういえばここの城主とは縁続きの血盟でしたわね。

・・・と、そういえば鯛はどうしたのかしら。もうそろそろ入っていないとおかしいはずですけど。
それに、あの放蕩エルフですわ。おおかたここの幹部にうまいこと乗せられたんでしょうけど、捕まえて説教の一つもかましてやらないと。

・・・あれ?SV?
いやいや、違いますわね。何やっているのやら、うちの盟主は。
あらあら、慣れないヒールなんか履いてるから人にぶつかるんでしてよ。

とりあえず、ぶつかった人と離れてから声をかけることにしましょうか。
「お嬢さん、ぶつかった時に落としましたわよ。サベxサベ」
「・・・は?」
「ああ、いえこちらの勘違いでしたわ。失礼します。」

ま、ここまで符帳出しておけばわかるでしょ。私は変装してるわけでもないし。

っと、そろそろ着付がおわりますわね。主役はパーティが始まってもお披露目の瞬間までは控えていることになりますから、傍についていないと。あー忙しい忙しい。



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