− Geymark編
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[a sea bream] 婚約者捜索まつり 2006年03月15日08:23

「ええっと、今のは・・・」
「リーヴァーの伯父様ですわね。」
「えーっとリーヴァー家リーヴァー家・・・ああ、母方のお爺様の従兄弟の息子さんですね。」
「そうです。」
「はい・・・これでご挨拶にいらっしゃる予定のご親族としては97人目、折り返しは過ぎましたわね。」

というわけで、テラン様と控え室に詰めながら、ご親族のご挨拶を受けたりしておりましたの。

KNOCK KNOCK・・・
「はい。」
「ロベスター伯爵夫人がお越しになりました。」
「まあ、ロベスターの叔母様が?」
「お通しさせていただいてよろしゅうございますか?」
「はい、お願いします。」

「こんにちは、テラン、今日は成人おめでとう。」
「まあ、叔母様、わざわざありがとうございます。」
「ところで聞きました?」

・・・はぁ、あっという間に噂になってますのね。とはいえ、身内ならともかく、そう簡単にわかるとも思えない変装でしたけど・・・
・・・身内?・・・
・・・なるほど、おおむね見当はつきましたわ。

「・・・らしいのよ。テランも婚約者がそんな御趣味の方だなんて・・・」
「あら、それは私が無理を言ってお願いしたんですのよ?」
「んま!なんですって?」
「開宴前のちょっとしたお座興として、鯛様を探せイベントでもと思いまして、無理を言ってお願いした次第ですの。」

テラン様はそういうと、目くばせで部屋の隅においてあったカラオケ大会だかビンゴゲーム用だかの景品類を指しましたの。

「はい、ロベスター伯爵夫人。今回の件は正式なプログラムとして登録される、「鯛ちゃんを探せ、婚約者捜索まつり」という座興です。婚約者を見つけ、証拠としてヘアピンを奪取した者に豪華景品が用意されています。」
「なあんだそうでしたの。私はまたてっきり・・・」
「・・・そういうわけですので、あまりお騒ぎ立てにならぬよう・・・」
「ええええ分かりました。そういうことなら皆にも教えてあげないと、それじゃ失礼しますわね。」

・・・

やれやれ、あとでプログラムの改竄をしなくちゃいけませんわね。まあなんとかなるでしょうけど。

「これでよろしかったのでしょう?Gey」
「は?」
「私の成人パーティの時期に合わせたみたいに、うちの城には不釣合いなほどの切れ者の事務官が入ってきた・・・幹部の手の者じゃないとしたら、鯛の姿焼き様の関係者と考えるのはそんなに不自然かしら?」
「テラン様、それはちょっと深読みし過ぎかもしれませんわよ。」
「あら、証拠なら今掴みましたわ。」
「・・・あ!・・・」
「そう、貴方は婚約者がヘアピンをしていると言った。ということは貴方は鯛の姿焼き様を見かけたということ。しかも一発で見抜いたということは、鯛様をよくご存知ということじゃないかしら。」

まったく油断できない娘さんですわ。まあ、だからこそ気に入ったんですけど。

「・・・さすがですわね。お見それいたしました。」
「私たちとしても、招いた婚約者が趣味で女装しているということになったら、いささか不名誉ですもの。この方が望ましいということですわ。それに・・・」
「それに?」
「こんなお馬鹿な座興を考えるようなうつけ姫と思わせた方が、後々動きやすいですしね。」
「なるほど。」
「ただ・・・」
「ただ?」
「ちょっとネーミングセンスはもうひとつだったかしらね。」
「・・・とっさの事ですし、それはご勘弁くださいまし。」

さて、とりあえず最悪の事態は回避されたと思いますけど。せいぜいうまくお逃げなさいませ。盟主。



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