[a sea bream] それ全部貸して 2006年03月15日10:15
大広間の扉を開け閉めする音の回数が減った……ということは あらかた招待客は入った、 そしてぼくの周囲には影はいない よし……ここは一つ 「そこのメイドさん、ちょっといいかしら」 「は……、!!」 ぼくが見える範囲から離れない、 「お化粧室はどちらかしら?」
大広間から出ると、不思議なほどに警備が薄くなり、 なにはともあれ、チャンスだ 「……ロキ、何やってんのこんなところで」 叫びたかったが、押し殺して小声で問いかけた 「たたったたったtt鯛こそその格好……こ、声まで変えて」 「ここにいるってことは、
テラン様とぼくが婚約することになっているという話は ロキがここに来た目的は“同盟のため”とのことで Geymarkは城主とその娘の事情を調べるために 他にも知り合いが来てるかどうか聞いてみたところ、
「とりあえずロキは……」 これからどう動くべき、をアドバイスしようとしたところで 「……主賓来場か」 壁に耳を寄せて呟くと、ロキも壁に寄りながら頷いた 「随分時間オーバーしたけど、そんな雰囲気だね」
“ご来賓の皆様方、我が娘の誕生祝賀会にようこそ……”
「ヴァヌー城主の挨拶だ ロキが嬉々とした声色で言う 「まぁでも、ひとまず安心かな…… 喋ってるうちに“変化”に気付いたぼくは、 「何ソレ?」 「一時的に声を変える薬だよ、エルフ村のハーブティエン製 ロキにも少し分けてやろうかと差し出したその時、 “娘自らが考えた企画、豪華商品を用意致しております 「ぶ!!!!????」 ロキと同時に吹いた ……は、はぁあああぁあ!? “この会場内に鯛の姿焼き様がいらっしゃいます …………まずい…………全然諦めてない だめだ、思考がまとまらない …… ………… ……………………く、こんなことしか思いつかないのかぼくは 「……ロキ」 「ど、どうするんだ、鯛……」 「警備が薄くなった今、 「それを、鯛に渡せばいいんだね」 「違う、ぼくが着ちゃったら普通に見つかるじゃんか 「え? 俺?」 「そのウィッグとメイド服、全部ぼくによこして」 |