[a sea bream] 竜巻だの爆発だの 2006年04月05日21:07
俺とDeL嬢に補助魔法を施したGeyさんは、俺達の無事を見届けると足早に去っていった。
ここは俺とDeL嬢で十分と判断したのだろう。
よし、任されましたよっ!
気は抜けない。エンパワーの魔法を受け魔法の威力が上がったにせよ
俺は体力のない魔法職。
7人程の衛兵とヴァンガードに一気に襲い掛かられるとひとたまりもない。
しかし今は大人数との戦闘に長けたドレッドノートが一緒だ。
近づく衛兵達を自慢のハルバードでなぎ払ってくれる。
槍を持つと表情から性格まで一転して見えるのが気になる所ではあるが・・・
DeL嬢がサンダーストームで敵をなぎ払う。
サンダーストームを耐えた数人が迫ってきたがそうはさせない。
既にこちらの詠唱は始まっている。
ざまあみろと口で言う代わりに両手を必要以上に仰々しく振り上げる。
周囲一体を巻き込む勢いで俺の周りに風が集まり巨大な渦を作り上げた。
この密度。この位置。条件ばっちり!めいっぱい吹き飛ばせ!
「食らいやがれぇ!!」
溜め込んだ風の気を、両手から投げ放った。
広域攻撃魔法、テンペスト。
生み出された巨大な竜巻は、城の装飾品をも巻き込みながら大きくうねり、
衛兵をもヴァンガードをも退ける。
・・・おや。テンペストの攻撃範囲に入っていたホッグキャノンが思った以上にきしんでいる。
しかし未だ変形は止まらず。ゆっくりと着実に変形を続けている
しげしげと観察している間もない。
「ロキ、屈んでくれ!」
DeL嬢に名を呼ばれ振り向くと、全身に気を纏っているのが分った。
何かスキルを出すのか?
(というか喋り方が何時もと違いすぎないか?
逃げる間も無さそうだ。言われるままに体を屈める。
勢い良く手を振り上げDeL嬢が叫ぶ
「ショックブラストおぉーー!!」
どおぉぉーーーん
ちょ、ちょっと!!
ヴァンガードを中心に大きな爆発が起こる。
起こるのはいいけど
俺もあおり食らってるんですけどぉぉー!あいたたたた
愛用のアバドンのローブは、数度に亘る修繕もむなしく
DeL嬢の放った爆発によりまたもほころびた。ほころびまくった。
燕尾のように長く伸びた部分等、端々がなんともワイルドに引き裂かれている・・・
「でぇーーるーーー嬢ーーー・・・」
非難に満ちた目で睨みつつ体を起こすと、
DeL嬢は露出が高いだのなんだのときゃあきゃあ叫び始めた。
誰のせいだあぁーー
あ。袖が取れた。
あぁあぁぁ・・・
・・・悲しいが、嘆いている場合じゃない。
ショックブラストによって怯んだヴァンガードに魔法を!
スリープ・・・やっぱり決まらない。
じゃとりあえず逃げないようにスローをかけておこう。
流石に特別な耐性もないのでスローは決まった。
よし、DeL嬢。後は任せた!
・・・ドワーフはスタンが上手だから苦手なんだよネ。
そんなこんなをしている間にもホッグキャノンは発射準備の変形を進めている。
刻々と進む変形により軋む機械音が腹立たしかった。
俺は気になった事があったので、
ポイズンクラウドを使い周囲に毒霧を発生させ、ヴァンガードと衛兵の目を逸らし
ホッグキャノンへと向かった。
精霊の祝福に、エンパワーの力まで加えたハリケーンを放つと、
鉄壁の鋼の塊に見えたホッグキャノンは予想以上にゆらぐ。
こいつ・・見た目程頑丈じゃないのか・・・? |