− ロキウェル編
 −

[a sea bream] 砲撃と咆哮と 2006年04月07日15:17

隣ではDeL嬢がヴァンガードを締め上げて
攻撃解除を命じているが、 ヴァンガードは怯まない。
猪砲台を分析していた俺にDeBuffによる拷問を訴えてきた。

「もう既に攻撃命令もインプット済みじゃ!
わしを倒したところでもう砲撃は止まらんぞ!!」

豪華な装備の割りに下品な笑い声を上げてヴァンガードが笑う。
もう・・時間がない・・・!
ヴァンガードを倒した所で砲撃が止まる保障もない。

「DeL嬢、この猪砲台を壊そう。」

「こんなのが簡単に壊れる訳が・・・」

「いいから、時間が無い、早く!」

攻撃すればいかにこの砲台が脆いかは手ごたえで察するだろう。

ホッグキャノン破壊を阻止する為に迫る衛兵をテンペストで押し返しつつ、
ひたすらに砲台へハリケーンを唱える。
俺とDeL嬢の集中砲火を浴びて、砲台は既に半壊状態だ。
でも、止まらない・・・!

動かなくなるまで壊すしかない。大丈夫だ。俺とDeL嬢の火力なら倒せる。間に合う!

 

「サンダーストーム!」
ばちばちばちっ

**弾丸充填完了、カウントダウンに入ります**

?!
ちょっと待て!カウントダウン早くないか?!

 

「あひゃひゃひゃ、今の槍の電撃で回路が暴走したようじゃ、こりゃ愉快じゃのう!」

俺達の阻止を衛兵に任せ、少し距離を置いたヴァンガードが高らかに笑う。
激しく口を塞ぎたいと思うがそんな暇もない。

砲台が狙うは大広間。
鯛が、皆が居るんだよ・・・!

発射を阻止できないとしても、向きや威力を少しでも変えなくては。
DeL嬢渾身のホワールウインドが炸裂した。
上手い!砲門の向きが変わった。

諦める訳ではないけれど、
状況を冷静に見て今の段階で止められていないなら、もう砲弾の発射に間に合わない。
この詠唱が終わる前に発射される。
俺は魔法を放つ手をホッグキャノンからずらした。

「鯛様、危ない!!」
DeL嬢が叫び広間へと駆け出した。

**発射します**

ドゴォォオォーーーーーン

砲弾が広間に向けて発せられるその瞬間、詠唱終了とともにハリケーンを放つ。
予測位置より僅かにずれたがほぼ予定通り。
砲弾の少し前で風がうねる。

お構いなしに砲弾は飛び去った。多少なりとも威力が落とせたならいいのだけれど・・・

祈るような気持ちをよそに、砲弾は広間へとぶつかった。
壁やら天井やらが崩れる音と共に周囲が振動する。

 

鯛は"力"が発動されつつあった。
おおとりさまにGeyさん。竜神会でもトップクラスのヒーラーが2人も居る。
力自慢のDeL嬢も向かった。
大丈夫だ。皆はきっと大丈夫だ。

そう心にひたすら言い聞かせるしかなかった。
じゃないと心が乱れる。魔法が紡げない。
最悪な状況を考えると泣いてしまいそうだ。
そんな場合じゃない。

DeL嬢は広間へ向かった。あっちは手が足りている。
俺には俺の、この場に課せられた使命を果たすべき。
さぁ、俺の怒りの全てを受けてもらおうか。

他にはもう何も考えない。周囲の状況もどうでもいい。ただ、目の前の敵を倒すのみ。
体中に怒りと力が満ちる。もう制御の必要はない。

俺の中にある獣の本能と血がざわめく。
本能の開放と共に体に黒い模様が浮き上がる。
高まる力に身を委ねるままに力いっぱいの咆哮を上げる。
皆が無事であるよう祈りを込めて。

気まぐれさと荒々しさを愛する風の精霊が纏わりついてきたのを感じた。



■ロキウェ ル編 の次のストーリーに進む■


■この後に続く 鯛の姿焼き編 を読んで みる■

■この後に続く DeLPi編 を読んでみる■

■この後に続く おおとりさま編 を読んでみる■

■この後に続く Geymark編 を読んでみる■


前へ戻る



■TOPへ■