− 鯛の姿焼き編
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[a sea bream] 硬い人  2006年04月07日19:03

自分の目を……なんて奴……って
万年筆を捨てて印を結び始めた、まずい

“深淵の伝達者……”

カースデスリンク!?

ロキがよく狩場に持ち込む“ネタ”なので
この詠唱句は良く耳にしている

うっわ、その肩と目の痛みをこっちにも転移させようって?
そ、そりゃ勘弁!

ぼくは急いでポーチから“容器”を取り出した

“かの者の海へ”

素早く赤い蓋を外し、容器の腹の部分を程よく握りながら
片手を沿え、一直線に振り上げた

“霧を伸ばし連結をんがっ”

手ごたえを感じると同時、両手に思いっきり握力を込める

“我が痛みwくぁwせdrfgtyふじこlp;@!?!??!?!!?”

押し込んだ一塊が、ぶっと外に吐き出される
それが耳元を通過する瞬間、強烈な匂いが鼻をかすめていった

あ、だめだめ吐き出しちゃ、全部飲んでもらわないと!
片手は印を結ぼうとしていて逆に無防備であり、よって無抵抗
お構いなしにさらに握力を込める

やがて、マグライダーの潰してない方の目が血走り、
どっと涙を溢れさせた
口端からは泡が……

 

ロキの言っていたとおり、武器だ、武器だった、間違いなく

君は一体どういう目的でこれを持っていたんですか……

 

マグライダーは抵抗する術なく、ぐるりと白目を剥いた

容器からそっと手を離す、と同時に
ドライアードの根が地面へと戻っていく

支えを失ったマグライダーの体は、力なく床に倒れ伏す

よし、とどめとまではいかないけど暫く動けないように……と
ポーチには……あったあった、コンポジットストラップ
これで両足と、ああ、容器も口に固定しておこう

 

*ごそごそ*

 

ふう、できた!
さてホッグキャノンは?

そう思いながら召喚された方を振り返った時、

 

##0、発射します##

 

異様に淡々とした女性の声が響くと同時、
示し合わせたかのようにオークドラムのような音が響き渡り、
炎を帯びた真っ黒い弾丸が壁を突き破って
左回転しつつ姿を現した

こいつにすべての時間が狂わされたかのように、スローになる

一直線に……
まずい、そっちにはスリープにかかったヴァヌー城主が!
って、テランさま、なぜそこに?!
だめだ、当然のことながらぼくが行動起こすより弾丸の方が……

間違いなく直撃してしまう

そう思った時だった

「鯛様、伏せて!!」

後ろからDeLPiの声が聞こえた
同時に体をぐいと伏せられる

「だめだ、ぼくじゃなくて……」

上半身を起こしながら言いかけた時、

「……っ!!
私がグルーディオ城主、
ヴ ァ ヌ ー で あ る !!!!!!!」

突然勢いを付けて起き上がったかと思うと、
そう叫びながら腕組みをし、胸をはり、仁王立ちになった

ちょ、ちょっとそんなことしてる場合じゃ

「片腹痛いわ!!!!!!!11」

 

 

“ガィン!!!!!!!”

 

 

…………………

 

目を疑った、疑ったよ

 

今、弾丸弾き飛んだよね……?

 

「て、テンプルナイト、硬……」

 

DeLPiとほぼ同時に、同じ事を呟いてしまった

 

しかし、
ヴァヌー城主に気を取られ、
弾かれた弾丸の方を見ていなかったのはぼくの汚点だ

頭上から轟音が降り注ぐ

見上げた瞬間、目を剥いた

 

天井に直撃したのか!!

 

咄嗟の行動だった
ぼくはすぐに起き上がり、DeLPiの体に覆いかぶさった

 

それからどれくらいしてからだろう、
背中に重い衝撃と鈍い痛みが走る

バトルヒールを詠唱出来る状況ではなかった

力も使いすぎたせいかな

 

くそ、意識が……



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