[a sea bream] 心が凍てつくような 2006年04月10日17:35
砲台の弾は壁を突き破り広場へ。
何故か着弾の音が2度聞こえた気がしたが・・・
一体大広間はどうなっているのだろう
沢山の事が気になる。早く戻りたい。
その為には目の前の者を倒さなくては。
魔法を発動させるのに、方法は一通りではなく
人それぞれに独自のやり方も存在する。
要するに、どう精霊の力を得るか。どう魔力を構築するか。
威力や方向やらを厳密に定める必要がなく、
巻き込んで困る仲間も居ない。
必要なのは、相手を屠る速さと威力。
ホムンクルスソードが精霊の力を帯びて輝く。
テンペストを放ち、間をおかずフレイムストライクを放ち衛兵達を退ける。
仕上げに更にテンペストを放つ事で、それまでの蓄積されたダメージもあり、
衛兵達は力なく膝をつく。
ガラガラと激しく音を立て、範囲魔法に巻き込まれたホッグキャノンが崩れた。
力の象徴の如くそびえていた砲台をも失い、
戦意を無くした衛兵達は我先にと逃げ出していった。
まぁその程度の忠誠なんだろうなぁ。
さぁ。残るはボスキャラ一人。
顔色のさえなくなったヴァンガードと向き合う。
よくもあんな大砲なんざ呼び出してくれたなぁ。
スローのかかったあんたの攻撃はもう俺に届かないよ?
命乞いかぁ。でも別にお金もそこまで興味ないから。
ヴァンガードはたいそうな斧を握り締め恨めしそうにこちらを睨みつける。
けど悪いがこっちも怒っているんだ。
体に浮かんだ黒い模様が熱い。
魔力と詠唱を高める刺青と共に力を増幅してくれている。
体の熱さとは逆に意識は冷静・・・いや、冷めている。という感じに近い。
淡々とスローを更に持続させ、ハリケーンを放ち続ける。
そろそろか・・・
ハリケーンを上回る威力を持つシャドーフレアを放とうと、
手の内に闇の炎を生み出そうとしたその時
「殺しちゃだめだよ」と以前鯛に言われた事を思い出した。
すぅと我に返ったような気持ちになった。
そうだ、殺しちゃいけないなぁ。
手の内に呼んだ炎を小さいうちに空に四散させ、
新たに手の内に毒素を生み出してヴァンガードに放つ。
殺されないと悟ったからか、毒が苦しかったのか、
ヴァンガードががぁがぁと煩かったのでサイレンスもかけてみた。
ごめんよ?スリープ入らないから他に大人しくしてもらう手段ないんだよね
シュォォ
うお!びっくりした。
俺の魔法で居場所がわかったのか、
気が付くとシルエットが側に戻ってきていた。
お前は一体どこまで行って・・・
シルエットは俺に太くて丈夫そうな長い縄を差し出した。
・・・・・・・・・
俺何頼んだっけ?何か戦える装備だったと思うのだけれど・・・
えーとえーと。
ま、まぁいいか。丁度いいね、これでヴァンガード縛っておけば安心だ。
うんうん、よくやったシルエット。
役目を終えたシルエットは満足そうに異界へと戻った。
縄で縛ってスローとサイレンスとカースポイズンかかってりゃ、まぁ十分だろう。
こっちは片付いた。戻っても大丈夫だな。
やっと持ち場を開放されて一目散に走る。
皆の戦闘能力は決して足りない事はない思うけれど、
何が起こってもおかしくないような状況だ。
大広間の破損具合が更に不安にさせる。
皆・・・大丈夫なのか・・・?
砲撃によって崩れた箇所から大広間へと戻った俺にDeL嬢の悲痛な叫び声が聞こえた。
すぐに救護班をお呼びください!!
ぞくり。と体中の血を失うような気持ちがした。 |