[a sea bream] 捕獲執行人 2006年03月13日20:35
やっぱり来てたな、おおとりさま あの人の組織は、ほんとに得体が知れない…… こういう場所まで力が及ぶなら、 ま、今はそんなことはいいや おおとりさまは気付かないフリをしてくれたみたい とにかく、ここでは挨拶以上の会話をするのはNGだ
大広間に出ると、既に大勢の招待客で溢れていた ぼくもシャンパンを一杯頂戴して、 ん、視界の端っこに忙しなくウロウロしてる男がいる…… よし
「あ! す、すみません! 大丈夫ですか?!」 「ああ、こちらこそ……余所見をしてしまっていて」 天井を見上げながら歩いてわざとそいつにぶつかってみた 「本当にごめんなさいね 「い、いえいえ、大丈夫ですから、お気遣いなさらず」 「今拭いてしまえば、シミになりませんから」 すかさず白い革のバッグからハンカチを取り出して 男は諦めたのか、歩き出そうとした足を引っ込めると、 「あ、あの」 やや焦った調子で問いかけてきた 「はい?」 「失礼とは存じますが、 何となく予想通りの言葉だ 「何故?」 「ああいや、お詫びに新しいハンカチをお贈りしたくて」 「そんな、お詫びだなんて 「……ふむ、ジーヴァですか」 男は顔色を変えた 血盟“ジーヴァ”はエルモア竜神会と同盟を組んだ血盟 ぼくの予想が当たっているなら、 ジーヴァという血盟の名前を聞いてこの反応…… 「あの、ジーヴァといえば鯛の姿焼き様の同盟血盟ですよね やっぱりな 「え? エルモア竜神会の? 「え、ご存知ありませんでしたか?」 「はい、初耳です」 「あ、ああ、ハンカチ、ジーヴァ様宛てに郵送しますね 男は言うなり、 あ、今上着の袖の中に赤い柄がちょろっと見えたな MFDかそのあたりの、魔力を帯びた短剣だろう
なるほど、
多分ああいう“影”は何人かいて ということは恐らく、 くそ、この大広間じゃ、人一人探し出すのは容易じゃない |