− 鯛の姿焼き編
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[a sea bream] 赤い蓋の調味料  2006年03月20日12:59

「すみません、お飲み物くださる?
会場内歩き回ったら喉が渇いて乾いて……
まさか座興で体力を使うことになるとは、ふう」

はい、少々お待ちください

「おーいねぇちゃん、そろそろつまみを出さんかいいい」

おつまみはご用意しております、
ただ今向こうの給仕からお持ちしますので少々お待ちを……

「ちょっと、あのメイド態度悪くてよ
ちょっと忠告してやっておやりなさいな
具体的に申し上げますと……」

ええとはい、はい、ああなるほど分かりました
あとできつく言い聞かせておきますので……

「ヴァヌー城主、今回は頑張ったなぁ、なぁそう思わないか
何の話かって? メイドさんの話だよ、メイドのクオリティ
君可愛いねぇ、歳いくつー?」

あは、ありがとー23でs……って何言わせるんですか!?

あああああよりによってこんな時にメイドへの注文要望てんこ盛り
全然厨房に向かえないいいいい

いつ見抜かれるか、
これはもしやバレたかと冷や冷やしながら歩き回るのも
精神衛生上よくないよ……
ヘアピン見られるだけでも心臓が……

お、お願い皆、他のメイドさんを尋ねてー!

 

ふう、ようやく広間から出られた……
厨房、厨房と……あれ?

「メイドさーんっ」

ロキだ
なんか首に紫色の手形のよーな痕が付いてるけど
何だろう、何があったのそれ

言葉にせず訝しげにそれを見ながら近寄ると、

「これからどちらに?」

と軽い調子で聞いてきた

「厨房へ」

「なるほど……ああえっと、
これ、厨房のお手伝いさんらしき人が廊下で落としたんだ、
届けてやってくれないかな」

ロキは客を装った口調で言いながら、
後ろ腰に手をまわして何かを取り出した

赤い蓋の容器……何だろう、調味料か何か?
変な色したものが入ってる……

不思議そうに見ていると、

 

『武器』

 

ロキの口が、声を出さずそう動いた

ぼくは頷いてそれを受け取った

『鯛は食べちゃだめ』

ふむ、なるほど
何が入ってるのかすごく気になるけど
武器、で食べちゃだめともなると『毒』しかない
確認するまでもなさそうだな……

「賜りました、親切にありがとうございます」

『こっちはまかせて』

了解

ぼくは一礼して受け取り、厨房へと歩き出した



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