− 鯛の姿焼き編
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[a sea bream] 爆発  2006年03月22日22:19

何とか厨房には辿り着いた……こんなに大広間から離れてるとは
しかもここまで来る道は結構複雑だったなぁ

厨房の奥からは、グルーディオ料理を思わせる野菜炒めの香りが
ふわりふわりと漂ってくる

ちょっと空腹に拍車がかかるけど、我慢我慢

ひとまず、テラン様やヴァヌー城主にお持ちする飲み物を
適当に探し出すかな

なんて思ってみたものの……うーん、厨房もなかなか広い!

他のメイドさんに「どこにありますか?」なんて聞くのも
怪しまれるだけだよなぁ、普通は把握してるもんだ

あれは……
ん〜、飲み物って色じゃないな、ケチャップのボトルっぽい

これは? ……違うなぁ、フルーツソースみたいだ

……なんだこれ、“ミソ”?

あ、あっちかな?
ワインボトルみたいなのがいっぱい放置されてる

ようやく、何となくの確信を得て奥へと歩き出した−−
その時だった

“ドォン!!!!!!!!!”

腹を直接打ち付けるような轟音と熱風
まるで火鉢に住むスタッカートどもの自爆を思わせるような……

爆発!?

ぼくは反射的に身を伏せた
調理場にいた人たちの悲鳴とともに大小様々な食器類が舞い、
地面に叩きつけられる音がけたたましく鳴り響く

熱風が来た方向を頭の中で確認する
見間違い、勘違いじゃなければ、コックたちのいた方向からだ
何をしたんだろう、料理の火力調整でも間違えたんだろうか?!

ちょっとこの爆発は大きすぎる、急いでここを出ないと……
ってああああ、火がこっちまで伸びてきてる
ん、この火の色……おかしいな、料理に使う火か……?

ぼくは少し体を起こしてレジストファイヤを唱え、
次に念のためマジックバリアを施してすぐに元来た進路へと
走り出した

まさか、城主の娘の成人という御目出度い日を狙った
敵対血盟の……
いや、ヴァヌー城主に敵対する血盟なんかあったっけ

あああ、ぼくとしたことが
グルーディオ城主の敵対血盟の有無については
情報収集してない
すっかり忘れていた……!

大広間に近付くにつれ、何か様子がおかしいことに気付く

悲鳴のような奇声を上げながら、転がり込むように廊下に出て
城の外に向かっていく来賓の人たちの影、影……

ここでも既に何か騒ぎが?

テラン様は? 城主は? Geymarkは?
……血盟の皆やDeLPiはどうした?

 

ええい、混沌としてるならそれもチャンスだ
テラン様のいらっしゃった壇上は……
お、この扉、位置的にそれっぽい!

鍵は閉まってる、そりゃそうだよね
よっし、強引だけどここは一つ!

バーサーカースピリッツ!
ガイダンス!
デスウィスパー!
フォーカス!
ヘイスト!
マイト!

ちょっと失礼、入りまーす!!!!

回し蹴り一発で扉は開いt……というより倒れた

扉から先に伸びてる階段を駆け上がると、やはり壇上に出た

いたいた! 無事だった!

このエルフのお嬢様、間違いなくテラン様だ
そしてその横にはGeymarkが……!

「テラン様、ひとまずこちらへ避難を……って」

テラン様に避難を促している最中と思われるGeymarkは、

「さすがにその格好はどうかと思いますわ……」

言いながら、すっごい訝しげな目でぼくを見た



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