a sea bream 鯛の姿焼き編

[a sea bream] 今こそ問う  2006年03月26日12:58

ひとまずこの滑りまくりの血盟員からだ……
ぼくがなぜ怒っているか承知のようだな、抵抗するそぶりもない

育ての親“魚占の姿焼き”直伝、
バーサーカースピリッツによって開封されし
古代エルモアデン仕込みの体術、

“赤竜流カバット”を喰うがいい!

ハハハ、ダークエルフはひ弱だな
面白い程にクリーンヒットが入る

……おや、もう伸びちまったか
ダークエルフはひ弱だな! そこがまた面白いが!
この支配感がたまらんな!

 

うん、だいぶ気分が良くなって来た
さてお次は……

 

ぼくの話を真面目に聞いてくれそうにない人はどこかな?

おやおおとりさま、大人しいじゃないか
こういう時こそ得意のサテライト兵器を使えば良いのに

誰一人として動こうとしないな、よし

「…さて、変な方向に話が逸れた気がするけど気のせいだね
話を続けようか」

 

ぼくは壇上にいるテラン様とGeymarkのほうに向き直った

そもそも、こんなことになってしまったのは
ここの城主、もしくはテラン様が何かを企んでるせいだ
兄貴の行動パターンからおおよその想像はついてるけど、
アイツと何を約束したんだ?

壇上のすぐ下のほうで、
ぼくが先ほどスキャンダル暴露気味にまいた男“プラウラー”、
そして何やらひときわ成金の匂いを漂わせる服装の
重臣らしき御仁が言い争いを始めた

「わ、私は無関係だ!
マグライダー卿が君をプッシュしたのだ!」

「プラウラー!何を言う!」

「不正経理を暴かれないよう、姫様に外様の操縦しやすそうな婿でも
あてがってしまえと言ったのは卿だろう」

「何だと?証拠でもあるのか」

「ああ、あるとも」

「証拠ならこちらにあります。数ヶ月に渡り、
マグライダー卿とヴァンガード卿が荘園資金の横流しを
行っていた経理記録です」

んん?

Geymarkが堂々たる姿勢で彼らを見下ろし、淡々と語り出した

荘園資金の横流し……?

ぼくは、Geymarkの兄弟姉妹が
ギランだけではなく、グルーディオ領、ディオン領、
オーレン領、アデン領の物価変動を
余す事無く調べているのを知っている

前にも言った通り、“金銭の錬金術”に精通している彼女
グルーディオ領で何かを嗅ぎつけた結果、ここにいるということ?

そして何かを掴んだ、そんな雰囲気だな

さっきは
「何故手を貸してくれないんだろう、動こうとしないんだろう」と
疑問ばかりが頭にあった

少なくとも彼女の目的は、
ぼくとテラン様の婚約を成立させることではない……?

「ちょっと待てプラウラー!
そりゃあ荘園資金の横流しは4:4:2で
わしらが多めにいただいたが、
戦争用の消耗品の横流しでは7:3で卿が持っていったではないか!」

「な、何を血迷ったことを言う!
それこそ証拠でもあるのか!」

ぼくはこういう政治的な話にはとても疎いし、得意ではないけど

“不正経理を暴かれないよう、
姫様に外様の操縦しやすそうな婿でもあてがってしまえ”

 

ふーん

 

へーーー

 

「ふうん、僕なら操縦しやすいと思ったんだ……」

 

また血がたぎり、エネルギーが漏れ出すのを感じた

 

その時だった

 

“ごおぉぉぉぉぉぉん・・・・”

銅鑼の音?

それと同時に、まるで体長が10mを越すのではないかと思うほどに
妙な気迫と迫力を放つ、純白のマジェスティックの鎧に身を包んだ
セバス頭のエルフの男が現れた

男は腕組みし、口をがばりと開いた

「私がグルーディオ城主、ヴァヌーである!!」

エルフとは思えないほど重みのある、低い声が大広間を覆う

 

こ、この人がヴァヌー城主?
生で見たのは初めてだけど、す、すごいインパクトだな?!
エルフに見えないのは何で?!

 

「ヴぁ、ヴァヌーさま!」

バンガード卿がすがるように壇上に寄り、ヴァヌー城主を見上げる
己の弁解でもする気か?

「そのような小細工を見抜けぬ私ではないぞ」

ヴァヌー城主はギラリとヴァンガード卿を見下ろしながら言った
ふむ、Geymarkの持ってるという“証拠”を既に査収したんだろうか

「は、ははッ……! 仰せの通りd……」

「貴様は、 
も っ と 男 を 磨 く べ き で あ る!!!!」

 

 

……は? な、何……?

 

唖然としていると、ヴァヌー城主はこちらを見やった

「鯛の姿焼き殿!!!!」

「は、はい?」

「私 が グ ル ー デ ィ オ 城 主 、 
ヴ ァ ヌ ー で あ る!!!!!」

「は、はい、あいやどうもこんにちは……」

ぼくの全身から、バーサーカースピリッツのエネルギーが
消えうせていくのを感じた

い、いやここで臆するのは何か違う

ここまで来たら、もう大衆の前で真実を問うまでだ
厨房の爆発も気になるし、早く話を運ばないと!

「ヴァヌー城主、何故ぼくをテラン様の婚約者に?
さっきこの男が言ったみたいに、
この城の不祥事を隠し通すための道具にしたかったんですか?
おかげで血盟ごと大変不名誉な事態になってるんですけど」



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