− 鯛の姿焼き編
 −

[a sea bream] 手数料  2006年03月30日13:22

…………そんな正式名称だったのか、などと口をあんぐりしていると

「……寝起きが弱いあたくしにいきなり話しかけたりするからですわ!!
あー、めんどくさい、いっその事このお城ごと蒸発させて
差し上げましょうかしら?
あたくしはね、ダーリンさえ見つかればもうどうでもよろしいの!」

この大事な話をしているときに居眠りしていた人が逆切れ……

まぁ、「そんな協力しないわよ」と言われる事態も予想してたので
それよりはまだ手の尽くしようがあるか……

要件要望を完結に?
ふぅ、仕方ない
脅しには丁度いいし、ここはヴァヌー城主に聞こえるように……

と息を吸い込んだところで、

「お父様!!」

テラン様が初めて声を上げた

 

 

−−テラン様の一声でヴァヌー城主の機嫌がやや戻り、
ようやくまともな会話が出来る状況になった

『漢とは性別ではない、魂だ!』

って凄い教育してるな……
同時に何か懐かしいものがこみ上げてくる……

『倒れる時は、前のめり』

なんて言葉を思い出した

一度頭に血がのぼると暴走してしまうタイプなのかな
最初の印象ではなんだか器の小ささを感じていた
でも今は非常に冷静だし、表情を変えず堂々と構えた態度に
漢気を感じる

思ったより話の通じる人物みたいで安心したよ……
ひとまず、Geymarkや血盟員は無事に帰れそうかな……?

ぼくが婚約の話を了承どころか耳に入れていないこと、
その気はないことを明確に述べると、
テラン様も同じく結婚の意志はない事を明示した

これに、ヴァヌー城主も納得された様子だった

「……では、この不祥事についてはどうされます」

「……そちらの好きにするがよかろう」

「え?」

「その程度で揺らぐ我が城ならば所詮わしの器が
そこまでであったというだけのこと、
かつてのように一血盟の盟主として野に下ればいいだけの話
何か問題があるのか?」

「こちらもこの城の転覆が狙いなわけではありません
そういうことならばこの件はご城主にお預けしましょう」

「あいわかった
そなたの度量に感謝する」

 

ヴァヌー城主が強い(濃い?)眼差しで頷くと、
ぼくの心の中にピンピンに張られた緊張の糸が緩んだ

「では兄の件で……」

そう言いかけた時だった

 

地面がビリビリと振動を帯び始めた事に気が付いた
これは……

 

次元の門が開く音……?!

 

「姫様!ちょっと席をはずしますわ!」



  ■鯛の姿焼き編の次のストーリーに進む■


■この後に続く ロキウェル編 を読んでみる■

■この後に続く DeLPi編 を読んでみる■

■この後に続く おおとりさま編 を読んでみる■

■この後に続く Geymark編 を読んでみる■


前へ戻る


■TOPへ■