− 鯛の姿焼き編
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[a sea bream] 礼服を作って!  2006年03月10日09:40

「今予約でいっぱいで、取りかかれるのは一週間後だと思うんです
ほら、あっちこっちで社交パーティやら結婚式が行われるもんだから」

礼服職人レイカさんは、兄貴の依頼書を見ながら困惑顔
レイカさんの周囲を見ると、確かに依頼のぶんだけの布や針箱が
山積みになっている
ぼくの礼服は後回しに……そうなってもやむなき状況だ
これじゃ、あと2日で作れって無理があるよなぁ

「確かに……大変そうですね
でもぼくもちょっと急ぎだったりするんですよ
グルーディオの城主に突然呼ばれてしまって……
どうしても明後日には欲しいんです」

そう言うと、レイカさんは顎に手を添え、しばしうなりながら考えて
やがて顔を上げた

「……わかりました、依頼書に印を押したのは私ですし
ちょっと、私の師匠に話を通してみましょう
多分、今すごく暇してると思うし」

「師匠?」

「特殊洋裁技術を伝授してくださった方です」

 

地図とレイカさんの手紙を手に、アデンの古びた一軒家を訪ねた
職人のお師匠様じきじきに礼服を作ってもらえるなんて、
ちょっとレアで得した気分だ

「すみませーん」

扉を叩くと、

「あーい、どなたさまー」

ちょっとしわがれた声が中から返ってきた

やがて、だいぶ年を経たドワーフの男性が扉から顔を覗かせた
おお、なんだか服がお洒落だしひげの三つ編みが素敵
風格があって、職人って感じを漂わせているぞ

「あの、礼服を作っていただきたくお尋ねしました」

ぼくはすぐに手紙を渡す
すると、しわしわの顔をさらにしわいっぱいにして笑顔を浮かべた

「おお、おお、レイカの手紙じゃ匂いで分かるぞぉ
まったくレイカは相変わらず手際が悪いのぉ、
手が回らないならさっさとわしに回せばいいのじゃ
ああっと、いらっしゃい、わしゃガルナと言う
まぁ、中にお入りなさいお嬢さん」

「はい、お邪魔します」

って、え?
き、聞き間違いかな

「ひさびさじゃぁ、腕が鳴るのう!
さっそくサイズを測らせてもらおうかの」

 

ひととおりサイズを測り終えると、
製作に2時間ほどかかるので、
暇つぶしに観光でもしてきなさいと言われた

この隙にテーブルマナーの本でも探してこよう



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